幸せでいてくれればそれで、とは言いきれない


民衆の中にあって、
真理と正義と平等のために不断に闘うこと。
これ以上に尊い生活はおそらく望み得ないであろう。
クロポキトン





ある日突然、一人の人間が滅茶苦茶な理論を押し付けて彼を陥れようとした。

小さかったはずの火種はあっという間に大きくなって、遂にはその人だけに留まらず、大切な仲間までもを燃やし尽くす程に荒れていった。マスコミがあることない事綴った記事をあちこちにばらまいて、それを取り込んだ無数の人間から害の芽が出て、立派に咲いた野次馬の花がまた新しい種を蒔いた。

暴言のどれもが確信のない自己理論であったり、価値観の押し付けだった。警察の調査や事務所の主張、仲裁機関から得られた真実はそこにないのに、皆が情報の量に負けて「そうなのかもしれない」と洗脳されていった。

擁護の声は掻き消され、目に見えて窶れていく彼らを見て心配は膨れていった。毎日毎日更新される、嘘か本当か分からない過去の悪行。骨まで食らうつもりなのか、関係ないような事まで掘り起こしてハイエナは美味しそうに彼らをしゃぶり続けた。



そして遂に、世界で最も愛してた仲間を守るため、彼は全ての責任を背負って仲間の元を離れた。



ライブのメントで「皆次も再契約するよね?」と泣きながら仲間に問うような、誰より仲間を愛している人だった。
世界中にいる沢山のファンに「僕は君達がいなければ抜け殻同然だ」「例えライブをして1人しか来てくれなかったとしても、僕はその1人のために全力で歌って踊る」と言うような、誰よりファンを愛している人だった。
誰よりも沢山ファンとコミュニケーションを取って、優しい言葉をかけてくれる人だった。仕事中もスタッフを気遣って労りの言葉をかける人だった。
直筆の脱退表明文には、「他のメンバー達は何も関係ありません。本当に素敵な人達なんです、どうか変わらぬ応援をよろしくお願いします」と、こんな時でも他人を庇うような人だった。




脱退を宣言した日から1週間。Twitterでは1日も欠かすことなく、彼が戻ってくることを願うタグの運動がトレンド入りしている。

アメリカでは16歳の男の子の呼び掛けで200万を超える資金が集まり、タイムズスクエアの巨大スクリーンに彼らを支持する広告が出された。署名活動も現在は参加者40万人を超えている。

韓国では正当処置がなされないことに対する訴えとして、事務所の前で沈黙デモが行われた。デモ実施が決定してから実行まで1日あるかないか、ぐらいの時間しかなかったにも関わらず、他国から200人を超えるファンが駆けつけデモに参加した。私の友人も居てもたってもいられなかったようで急遽韓国に飛んだ。

ロシアではファンのビデオメッセージを集めて、1本の動画‪を作成、youtubeに公開した。あらゆるファンがその字幕をつけ、さらに拡散されている。

日本でも、沢山の人が直筆のメッセージを書いて纏めたものを事務所に送っている。毎日のように、彼らを支援するタグ運動や年末に行われる授賞式の投票の呼び掛けも行っている。




数週間前まで誰もが幸せだったはずなのに。どうしてこうなってしまったんだろう。




先日、残された彼らが言った。
「もうこれ以上悲しむのはやめて。本当に。僕達は大丈夫ですから」。


大丈夫なもんか。悲しむなと言われてはい、と言えたなら最初からこんなに泣いてない。文字通り三日三晩母と2人で泣き続けたお通夜みたいな夜を過ごした人が何人いると思ってるんだ。
でも彼らがそう望むならそうするしかなく。




彼は今何してるだろうか。本当に抜け殻になっていないだろうか。テレビに映る仲間を見て泣いていないだろうか。決まって私達に「ご飯ちゃんと食べた?」と聞いていた貴方が痩せこけていないといい。暖かい布団に包まれてしっかり眠れていればいい。


私たちはこの一連の騒動についての問題定義を辞めない。彼のためでもあり、彼らのためでもあり、自分のためでもあり、私達のためでもある。この革命運動が終わる瞬間と言えば、警察から全ての情報を開示された時か、「もう本当にやめてくれ」と本人の口から言われるかのどちらかのみだ。それ以外には終わりはない。終わらせない。
だって。




別れまでどうやって愛するというの。
貴方を愛しているのよ。
愛という理由でお互いを諦めて
張り裂けてしまいそうに苦しむことは出来ない。私は。
How can I love the heartbreak , you're the one I love /AKMU