私が映画を好きになれない理由~劇場版『殺さない彼と死なない彼女』ネタバレビュー~

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先生、映画化本当におめでとうございます‪( ᵕ ᵕ̩̩ )‬♡



⚠︎以下ネタバレが大いに含まれています。
⚠︎良くも悪くも脳直に書いています。
⚠︎余談が大いに含まれています。









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半分ぐらいは当たってたかな、という感想。







◎絞りに絞られた的
まずこの作品は、原作をまるっと1冊読んだことがあるファンでないと見るべきではないと思います。意図してかせずかわからないけれど、そういう作りになってるなぁと感じました。1から10までとにかく原作再現に重きを置いて映像化されてるからです。

ツイートでも書いたけど、かなり日常的な一幕を4コマで区切っているのが原作。派手な起承転結を描いてるのではなく(後半はかなり急スピードで話が動くけど)、誰にでもあったような場面の中でキャラクターが動きます。だから原作知らん人が見たら2時間永遠に「は??」みたいな感じになるんじゃないだろうか。大きな山谷もあまりなければ、自己紹介やキャラクターがどんな性格なのか、どんな関係性なのかも説明がありません。見ていく中で感じろ!というスタンス。

キャラクターの殆どが学生だから舞台の大半が学校だし、やっぱりちょっと文化祭感は拭えなかった。だから何故この作品が映画化として許されてるのかと聞かれたら、「とにかくファンの為に作ったから」というのが真実じゃないかと思う。原作を知っているからこそ分かる質感、キャラの完成度、空気感。ファンだから許せるしのめり込める、演出に理解出来る。そういう作品だった。でもそれが正解だと思う。一般受けを狙う必要なんてどこにもないから、要所要所から原作リスペクトが窺えたのが凄く嬉しかった。

だからといって映画を見てから原作を買うのはやめた方がいいです。というかやめてください。この作品のイメージのベースがこっちになってしまうのは...うーん、勿体ない。皆がどうか知らんが私は凄く嫌。この作品を頭空っぽにして絶賛出来ない理由はそこにある。やりたかったことは伝わってくるけど、やっぱり実写化の限界?壁?を感じてしまったこと。

因みに以下はHPにあるプロデューサー今安さんと監督小林さんのインタビュー抜粋なんですが、私はこれを読んでひっくり返りました。「映画化出来そう」って思えるんだこの作品...という。素人には分からない感触だろうなぁ。
今安P:
2017年3月に原作が出版されてから、すぐに小林監督へ「こんな漫画があるんですが、どうですか」と送りました。WEB上で公開されていた四コマを目にしていたのですが、書籍化されたものがまた素晴らしくて「これは映画にしたい!」と。小林監督とは以前からご一緒したいと思っていたのですが、「殺さない彼と死なない彼女」はタイトルからすでにピンと来るものがあり、これを小林監督と映画化するのはいけるのではないかと思いました。監督もすぐに「これは映画化できそう」という感触でしたよね。
小林監督:
原作を読んで、映画化の可能性をすごく感じました。きゃぴ子と地味子、君が代ちゃんと八千代くんの話と「殺さない彼と死なない彼女」も併せてすべて一つの物語にしたら面白いんじゃないか、と全体の流れがすぐに思い浮かびました。一本の映画のなかで三組を動かそう、と。





◎キャラメイクが凄い
個人的に作品の中で1番評価出来るところだと思います。キャラメイクがすんごい。全員が全員かなり癖のある子達なのに、それを見事に再現してくれて感動だった。


*殺さない彼と死なない彼女
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作品の本主役。いやもう、もろ殺カレ死カノだった。原作同様鹿野がゴミ箱に捨てられた蜂を外に埋めに行くところから話が始まるんですが、そのねぇ~~~土を搔くところのねぇ~~~仕草がねぇ~~~もうすごーーい彼女なのよ。がに股。不器用。1人でなんか言って1人でふへへって笑う。それ見た瞬間から「え!?!?好きだ!!!!(?)」となった。実際色んなシーンを見ても彼女らしさが失われることはなかったし、ビジュアルまで完璧だったと思う。特にシルエット。原作の彼女の声はもう少し高いイメージだったけど、低めに喋るこれを見ても違和感はなかった。寧ろしっくりきた。

ただ上には上がいて、小坂...ちょっとえぐい。再現度が。キャラメイク男性部門優勝。Pと監督が「間宮くんにオファー受けて貰えなかったら映画化やめようと思っていた」と言っていた理由がよく分かる。彼の小坂しか知らないけど、それでも彼以外にこの役を演じる人はいないなって思うぐらい。原作にある台詞を喋ってる時も最高だけど、オリジナルで足された細かい台詞を喋らせた時がピカイチだった。大好きなイカ焼きのシーン、「うっわ人とは思えぬ食い方笑」みたいな台詞足したの大正解過ぎて頭抱えちゃった。鹿野と並んだ時の身長差まで再現してたのは流石にビビった。


*地味子ときゃぴ子
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原作きっての私の推しちゃん達。かなり期待してましたが、映画が終わった時、期待を裏切らないでいてくれて本当にありがとう...と五体投地で泣いていた。

まず地味子ちゃん、原作のボブカットから抜け出した&お顔が可愛いのも相まって、芋っぽさがあまりなかったのが好き。制服の着こなし方とかサバサバしてる所とか割と物怖じしないところとか、そういうのは原作そのまんまだった。けど、1番注目したいのはオリジナル演出。まさかの八千代くんの姉設定。八千代くんと喋ってる時の"弟相手に好き勝手する姉"の姿が描かれてるのは予想外。お菓子勝手に摘んで吠えられたり、部屋を出ていく時に扉閉めなかったり。地味子ちゃんってそんな子だったん!?という驚きが凄かった。不思議と嫌な気はしなかった。多分より人間らしくてリアルになったからだと思う。

そしてきゃぴ子。作品中キャラメイク女性部門優勝は彼女。正直予告の時点で頭一つ抜けてる再現度だと思ってた。というかオリジナル要素が少なかったのも含め最も原作に忠実だった気がする(原作より棘がなかったのはあるけどその方が良かったと思ったので棚上げ)。好きだなぁと思ったところが、彼氏の前で可愛く振る舞うシーンより、地味子ちゃんと会話しているシーンの方がきゃぴ子が幸せそうなところ。きゃぴ子ってマジで心から地味子ちゃんの事好きなんだな...って分かるのが嬉しかった。原作より百合百合しさが上がってて最高って思ってましたすいません余計でした。


君が代ちゃんと八千代くん
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う~~~~んよかった。けど、私だったらこうは作らないなぁという解釈違いを結構起こしてしまったのもあって、途中からは原作と切り離して見てた(インタビューを見るに、監督が意図的に原作と違う雰囲気で作ったみたい)。

まず君が代ちゃん。本作では先生直々に撫子というオリジナル名を貰っていました。主要キャラ6人中一番原作と違う雰囲気で作られてたキャラクターだと思ったけど、私は凄く君が代ちゃん好きだった。八千代くんに対する一途な愛を持っているっていう核が歪んでなかったから全然アリ。何より「八千代くん、好き!」のお決まりの台詞で彼女が笑う時、その笑顔が完全に原作とリンクしてたのでスタンディングオベーション。ただ、押しの弱さと包容力の強調はファンによって好き嫌いが別れるところじゃないだろうか。私は若干後者寄りなので、気になるなぁとは思った。

そして八千代くん。ん~~~~これがね~~~~なんと言いましょうか、私は今まさに"解釈違い"を見ている!という感覚。八千代くんに関しては特にオリジナリティが強いわけじゃありません。更にゆうたろうさん本人はキャスティング前から原作を読んでいたようなので、多分その時点でのズレが私と発生した。先生が一番台詞の手直しをしたのも八千代くんだと聞いているので、多分これは誰が悪いとかそういうのではない気がしている。元々静止画だったものを3次元化するとこういう障害があるよね、っていうお手本みたいな解釈違い。あと「君は」とか「〜なんじゃないかい」とか、現実的に馴染みのない台詞の言い回しが1番浮いて見えたのもちょっと残念。






◎散りばめられた驚き
文化祭感を感じた理由の中に、撮影現場の大半に見覚えがあったこともあります。しょうがないんよ、何故なら千葉で撮ってるから...ただ、自分が見に来てた映画館が撮影に使われてるのは知らなくて流石にびっくりした。尚且つそのシーンに先生がキャストとして登場しているのが1番びっくりした。何やってんすか先生!?!?!?という空気が瞬間的に映画館を満たしていました。相変わらず可愛かったです。
あと小坂のバイト先Niko and…なんかーーーいwwwwと自分の中でくそテンプレツッコミしてしまった。アパレルという時点でイメージが無さすぎて。くそかったりぃ〜って思いながら寂れたレンタルショップとかでバイトしてるかと思った。全然違った。Niko and…さんはにゃんを早々に商品化して売ってください。お願いします。






◎映画を好きになれない理由
先に纏めると、気になっている方は是非原作読んで映画館に走って欲しいと思える作品でした。観に行ってよかった。ラスト30分ぐらい?馬鹿みたいに永遠と滝涙流してたし、改めて『殺さない彼と死なない彼女』は最高な作品だなと痛感出来たので...Twitterでたまたま見つけた4コマ漫画に心奪われて、ファンになって、本も買って、カフェにも行って、ブログも読んで、遂には映画化までされるなんて思ってなかったし。幸せです。充分です。満足です。



でも、やっぱり私は映画そのものが好きになれないみたい。



私は演劇が好きだったから、作り手側の事とかも考えてしまって余計に楽しめてないみたい。制限された時間の中で物語を表現するのは大変だけど、それが上手くいってないものを見るとどうしてもがっかりしちゃう。
今回は原作がある作品だったから、その制限が目に見えてしまったのが大きい。「あぁここのシーンをカットしちゃったのか」っていうのが結構あった。特に八千代くんが「君は、僕が君の事を好きだと言っても好きでいてくれるかい?」と言った後「好きよ、大好きよ八千代くん」と君が代ちゃんが号泣するシーン。ここがなかった(というか君が代ちゃんの台詞が改変?)のが本当に本当にショックでならない...君が代ちゃんは人前で泣かない、という設定を活かせる大事なシーンなのにな‪( ᵕ ᵕ̩̩ )‬


加えて一つの話を追うのに凄く体力と気力が持ってかれる。全身でのめり込むから、さっきの滝涙の話じゃないけど相当心が持っていかれてしまった。それは良いことなのかもしれないけど"映画を楽しむ"っていう見方からは何だか外れてる気がする。もっと娯楽として楽しみたい気持ちがある。私が。


でもそれが映画の良さなのかもなと思った。感情を揺さぶることに長けた芸術ツールというか。監督やPがこの話を映画化したいと思ったのも、そういうことなのかもしれない。きゃぴ子の母が「1人でも平気よね?」という原作の台詞に「本当に」の一言を頭に加えただけで破壊力が全然違うのも映像マジック。「私はお前がいない世界なんて生きたくない」の台詞で感情を爆発させた鹿野にまんまとやられてしまったし。


怖いなぁ、と思った。
目と耳に訴え掛けてくるものは説得力があるように感じてしまう。自分が色んなものを鵜呑みにしやすい性格だって知っているから、映画は好きになれないんだと分かった。なんか気付いたら逆に飲み込まれてそうで。
この映画はその特性を逆手にとった。有無を言わさず鵜呑みにさせて、視聴者の感情を世界観まるごと繋ぎ合わせた。先生からの「全ての眠れぬ夜に捧ぐ」というメッセージが、また私の中で大きな存在になった。



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オチが見つからなくて突然終わりになりますけど、取り敢えず6人がどのコンテンツで世に出ても愛されてくれていればいいなと思いました。最後の最後で小6の卒業文集みたいな終わり方します。
どうでしたか〜みたいなリプも頂いてますが、感想のお返事はこちらをもって返させて頂きます🙏🏻

次は『さよならバイバイ、大好きだったよ。』を映画化してください~~~永遠に待ってます!!!!!!🥰🥰
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